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ポツリと思わず村木が呟くと
それが聞こえたのだろう。山南が視線を村木に向け
てにこやかに笑う。
「いえいえ。
違いますよ村木君。」
「っ。」
「私は至極当たり前のことを言っているだけなのですから
鬼、などと不本意ですよ。
鬼はむしろ土方君の方ですからね?」
恐ろしい男。
村木は山南をそう認識することにした。
__________夕餉後。
山南の毒舌が披露されたあとの夕ご飯は全く食べた気がしなかったが無事、なんとか食べ終えると
1人、廊下を歩いていた。
たった1日、されど1日。
僅か10日ばかり全く関わりのなかった人間のあいだに、ここまで入り込めるとは村木自身、想像していなかった。
「・・・。難しいです先生。」
人と関わるのは元々、好きではなかった。
自分から決して関わろうとせずにずっと、1人で旅をしてきて、ずっと1人で生きてきたのに。
先生に初めてあって、
俺の領域に遠慮なしにズケズケと入ってきてきたのは貴方が初めてで、どうしようか困って・・・。
「先生、浪士組は。
・・・どこか、先生に似た雰囲気をもってます。」
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