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それからの時間の流れは曖昧で、あるときリンカはピタリと泣きやみ、リンコウを抱いたまま、僕の方へと歩いてきた。
行こう。
と音のない声が耳元でささやいた。
リンカは僕らが眠っていたところに向かって淡々と歩いていく。僕は彼について行く。
朝から変わらない暗い空の下には、リンコウが引いてきた荷車が、僕らを待っていたかのように、静かにたたずんでいた。
リンカは上着を脱いで、リンコウの身体を無表情で包んでいく。じんわりと赤いものが広がっていく。
リンカと目が合う。
無言で荷車に乗る。布に包まれているリンコウの隣に座る。
リンカは走る。
走る、走って、止まらない。
息が切れても、つまずいても、荷車は走る。
ガラガラガラガラ・・・・・・
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