きみがだいすき。

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 ごくりと生唾を飲み込んでブツブツ呟いた。  が。  彼の邪な計画は次の会話でなぎ倒された。 「ところでこの本、美和ちゃんが自分で購入したわけじゃなさそうね」 「あ、わかります?」 「そりゃね。カラーが違うもの」  橋口の指摘に、本間はうんうんと首を縦に振る。 「・・・そっか?」  片桐達テーブルメンバーは密かに首をかしげた。  白い面長だけど小さな顔に澄み切った瞳とやや癖のある長い髪は、まるでファンタジー映画の妖精族を見ているようだ。  可愛らしいウサギと優しい色使いは、村木にこそ似合いそうなものだけど。  そう思っていたところ、くすりと村木が笑ってダイニングメンバーを見上げた。 「・・・私に似合うと思ったからプレゼントしてくれたわけじゃないですよ?」  ・・・読まれている。 「彼の中の私のイメージがそうだったと言うより、小道具として使いたかった節があります」 「あ、やっぱり、彼、なんだ」  ぽん、と池山が手を叩く。 「大学の先輩です。彼氏、とカウントするには、あまりにも短いお付き合いだったのですが・・・」 「あ、もしかして」 「ようするに」  本間と橋口がほぼ同時に口を挟む。 「その本、もらったから終了?」  びしいっと、二人が指を指すと、こっくりと村木が肯く。 「はい、そうです」 「えええっ!!」  男性陣が一斉にざわめく。 「なんで、なんで、なんで?すごく好きーってメッセージだよね?」  池山が前のめりになって尋ねた。  その食い下がりっぷりに、やや引きながら村木が答えた。 「・・・うまくは、言えないのですが、感覚の違い、でしょうか」 「感覚の、違い?」 「あるいは、まだ、そこまで気持ちが行っていなかったのよね?」 「相手が盛り上がりすぎると、こっちが逆にさーっと冷めちゃうって言うかあ」  橋口と本間がまたもや口を挟んだ。 「ようするに」 「無理、って思っちゃったんだ~」  サラウンドでありながらぴったりと息のあった二人の回答に、ますます男性達は目を丸くする。 「申し訳ないけど、彼との関係にそこまで入れ込んでなかったからでしょうか。気持ち悪いって思ってしまって、翌日からついつい避けてしまって、自然消滅って言うか・・・」 「自然消滅って言うか?」 「しばらくしたら、別の子が同じ本をもらったって、物凄く喜んでました」
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