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会議室に入って二人で向かい合わせに座ると、やけに落ち着きがないその様子に何か嫌な胸騒ぎがする。
「 先生、盗られたのは大切なデータだったんですか?」
と聞くと、汗をかきながら
「 何も、からです、空なんです!」
と明らかに挙動不審になった。とにかく、データーは空だからなんの問題もないと言い張るのでそれ以上追及もできずに話し合いは終わった。
夕方、やっと捜査関係者が引き上げると、今日一日ざわついていた生徒たちも帰宅する時間になっていた。
クラブ活動以外の生徒が帰宅する中、俺は今日一日昼飯も食べていないことと、高光に会っていないことに気づく。今日の昼飯はどうしたんだろう?警察が入ってるのはわかるはずだから工事現場の方で食べたのかと思いながら、足は自然と改修工事中の校舎の方に向かった。
足場で固められた入り口から中に入ると、夕陽が落ち辺りに積まれている鉄材が紅く照らされる中、金色に染まったのは細く尖った身体を精一杯しならせた後ろ姿。
そして、下着以外何も身につけていない男の前にもう一つ人影が見えた。
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