プロローグ SS

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何、思い出し笑い?気持ち悪~ 金髪の濡れた頭を振りながら風呂から出てくる高光はタオルを下半身に巻いたまま皮のソファに腰を下ろす。 散々二人でシミをつけたソファ、今頃身体から溢れる水分で濡れるのに文句を言うこともない。 お前のわがまま聞いてやった日のこと思い出したんだよ え?いつ? ゴールデンウイークの前 あぁ、俺があんたの車に乗りたいって、あれわがままだった? 当たり前だろ、会ったばかりの人の車に乗せろってわがまま意外何があるんだ それも、落としたい男の前で? でもそのわがままのおかげで俺はここにいる 生意気を言いだらしなく座る腰のタオルを外す俺の手を避けない相手に、 一週間分の下半身のわがままを聞いてもらうか と覆いかぶさると、 俺、入学式の時から知ってたよ、あんたのこと 初夏の日差しがベランダの庇で遮られる。仄暗い居間でいつもの吐息が熱く交わる。寝室に行かないのは俺のわがまま。 この関係の行く先はどこだろう?
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