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ぎゅっと抱きしめられる力が強くなる。みんなの熱い視線があまりにも集中し過ぎてこのままでは射抜かれてしまいそうだ。
恥ずかしい。
もみじくんはそれだけ言うと「では失礼します」と私の手を取り歩き出した。
会社を出てさきほどの視線たちから解放される。
彼の背中を追って、ぎゅっと握られた手を私も握り返した。
「もみじ、くん」
「なに?」
「私、明日会社行くの憂鬱ですよ」
「いいじゃん、僕の彼女ですがなにか?って顔しておけば」
「……無理だよ」
「ごめん」
「ねぇ、じゃあごめんて思うならさっきのもういっかい言ってください」
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