「君以外興味ありません」

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絶対、もみじくんだよね。なんて思って彼がいるであろうロビーに続くエスカレーターを降りて行けばなにやら女子の人だかりが。 嫌な予感がする。 「あの、誰かと待ち合わせですか?」 「よかったら案内しましょうか?」 「お名前お伺いしてもよろしいですか?」 質問攻めにあっている渦中の人物は、グレーのスーツに身を包み眉根に皺を寄せているもみじくん。 あんなに女の子に囲まれてまったく困った彼氏である。 「もみじくん」 エスカレーターを降り、名前を呼べば響いたそれに彼の視線がこちらに向いた。 と、同時にもみじくんに群がっていた視線も一緒にこちらを向く。 「え、杏知り合いなの?」 「もみじって名前なんですか?」 「え、お仕事は?」 「彼女います?」 「え、杏、紹介して! なにやら興奮気味の彼女たち。どうやら私がイケメンの知り合いというところに、わくわくを抑えきれなくなってしまっているようで。 スタスタと、足を進めてその群れに近づけばキラキラとした瞳をいくつも向けられ思わず後退りしそうになる。 みんな眩しすぎるよ。 「遅いです」 「……すみません」 と、もみじくんの言葉でキャッキャと騒いでいた女の子たちが一瞬で静かになった。私に向けられたもみじくんの言葉に「なに?」という表情を隠しきれないようで。 「あの、杏とはどのようなご関係で?」
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