第1章 転機

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第1章 転機

岡山の西古松。 幼稚園くらいに引っ越したのは覚えてる。 公務員の父だったので公務員住宅に住んでいた。 家族は 父・母・兄・私・妹の5人。 20分程離れた場所に母方の祖母の家がある。 祖母・祖父・叔母が住んでいた。 とても仲が良く私はおばあちゃんのおうちに行くのが大好きだった。兄も妹もそうである。 私は特に叔母と遊ぶのが大好きだった。叔母がいない時は叔母の部屋に行ってベットで転んで遊んでいた。 13歳 中学1年生の頃。 両親が家を建てようと計画を立てていた。 兄は高校。もちろん通える範囲内の場所で。 だが、私は中学生 妹は小学生。転校である。 決まった家は祖母の家の近く。もちろん異論はなかった。 中学生で思春期になった私は 長年暮らしたこの町も大好きだったが 祖母の家の近く さらに新築ということで喜んで引っ越しを受け入れた。 中学2年生の14歳。 夏に無事引っ越しが完了した。 新しい家。自分の部屋。大きなリビング。大きなお風呂。広い玄関に立派な客間。 何より新鮮だったのは庭があること。 嬉しくて仕方なかった。 なにより庭でバーベキューをすることが家族の楽しみだった。 半年ほどたったある日。 学校から帰ると父と母が喧嘩をしていた。 喧嘩をしていること自体は珍しいことではなかった。 反抗期を迎えた私は ばかばかしい とため息をついていたのは覚えている。 だが 普段と違ったのは 母が言った言葉。 「お父さん家出るから」だった。 突然のことと 意味がよく分からなかった事と うっとうしい という理由で 「そうなん」と一言しか返せなかった。 その時の妹がどうだったかは覚えていないが兄の事は覚えている。 喧嘩で狂った父が部活で遅くなってる兄に 「裕幸か!お父さん家出ることになったからな!」 とだけ大声で電話をし 兄がパニックで泣きながら自転車で帰ってきた。 帰る早々 「どういうことな!なんでな!」 と父に詰め寄っていったが 父は振り返りもせずに荷物をまとめて家を出て行ってしまった。 兄の姿を見て初めて 一大事か と気づいた。 気づいたときには父は出ていて「そうなん」と何も考えず返事をしてしまった事を物凄く後悔した。
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