第5章 高校

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第5章 高校

私は高校に入学した。 兄は就職し 妹は中学生になっていた。 自由になりたかった私は高校に入ってすぐアルバイトを始めた。 フードコートでクレープやたこ焼きなどを作って売っていた。 初めてのアルバイト。 覚えることはたくさんあったが 出来ることが増えると褒められ、時給が上がり 職場で認められる。頼りにされる。 母への愛情を求めて寂しかった私は職場で認めてもらえることに何とも言えない快感を覚えた。 高校生活の方は やはりつまらなかった。 クラスの人みんな幸せそうに見えた。 両親揃っている。みんな楽しそうに家族の話をしている。 それだけで友達になる気にさえなれなかった。 それなら 学校に行くよりアルバイトに行くほうがお金も稼げて頼りにされて生きがいを感じられる。学校に行く意味がわからなくなっていた。 高校1年の10月。 学校に行かずにアルバイトに入り浸ってしまった。 とにかく楽しかった。 お給料が欲しいわけではない。 役にたって褒められたかっただけ。 そんな気持ちでアルバイトをしている高校生は少ないだろう。 でも私の居場所はここしかなかった。 家に帰るとまた母の顔色をうかがって、気に入らない事があるとすぐに黙ってしまうので とにかく気を付けて生活をしていた。
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