第3章 たった半年

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第3章 たった半年

父が家を出て 母が夜帰ってこない。 優しかった兄は暴力が激しく私にまで向けられた。 母には 父とは連絡を取ったり会う事を禁止されていた。 仲の良かった祖母や叔母とも連絡をとらないようにされていた。 連絡をとるな とは言われない。 連絡をとると母の機嫌が悪くなるのである。口もきいてもらえずごはんの時も黙ったまま。挨拶さえもしてもらえない。そういうなんとも言えない圧力がかかっていたのだ。 だから 母が夜いないという情報はだれにも相談することが出来ない状態になり、「お利口」を演じることでしか生活できなくなっていた。 夏のある日、夏祭りがあった。 友達と行く約束をしていた。母に帰りが遅くなる許可をとり、9時には帰ると約束をした。 友達とのお祭は中学生の私にはとても楽しかった。 気が付けば9時を過ぎていた。しまった。そう思ったが、どうせ帰っても母はいない だったらもう少しくらいいいじゃないか。友達だってまだ残ってる。なんで私ばかりはやく帰る必要があるんだろう。 そう思って家に連絡をいれずに帰宅したのは午後10時。 帰宅して待っていたのは兄だった。 カンカンに怒った兄は私に説教を始めた。     
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