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疎開
聞きなれているけど、久しぶりのチャイムが車内に鳴った。緑だらけだった車窓の風景はいくらか、市街地らしさを取り戻しつつあった。
「――東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は東北――」
小学四年生の僕は母と一緒に田舎に住む叔父を訪れていた。この転地療養は夏休みの恒例となっていて、今年で五回目だ。
あまりよく覚えていないけれど、緊急搬送されるほどの大発作は三年ぶりらしかった。医師が言うには両親の対応は適切で、もう少し救急車を呼ぶタイミングが遅かったら死んでいたらしい。
大発作が起きたから薬がまた増えた。プランルカストという名前で、アレルギー反応を抑える他に詳しいことは僕に分からなかった。
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