キヨコ

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キヨコ

 僕は目を覚ました。呼吸は不思議と軽かった。病院かと思ったけど、僕は相変わらず森の中にいた。頭上に木の枝が密集して日差しが遮られ、いくらか涼しい。 「良かった、起きた」  少女が僕の顔を覗き込んだ。長い黒髪がゆらゆらと揺れた。日陰で涼しいとはいえ夏の昼間で暑いはずなのに、少女は汗の一つもかいていない。 「君は……?」 「キヨコ」 「この辺りの子?」  少し悩んでから彼女は頷いた。 「えっと、僕は……」 「倒れてたから。もう大丈夫?」  息苦しさは全くない。それどころか、いつもより息の通りが良いように僕は感じられた。 「お母さん、心配してると思うよ」  彼女に言われて僕はハッとした。また発作が起きたら危ないから、すぐに家に帰るべきだった。  僕は立ち上がって泥を払い、下に続く道に入る。去り際に僕は振り向いた。 「明日も会える?」  キヨコは笑って答えた。 「またおいで」
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