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レスキュー
ヒューヒューと、夜中に風を切る音が聞こえる。それが僕にとって夏の合図だった。
母は僕の口に器具を押し当てて、薬を噴射する。確かプロカテロールという薬で、必死になって僕はそれを吸いこもうとした。二十分おきでこれが三回目の吸入だが、効果を示すどころか悪化していた。
父と母が僕のことを呼びかけていることは分かっても、息を吸おうとするだけで精一杯だから何も言えなかった。大丈夫と言おうとしたつもりだった。
その後に覚えているのは、家の外で光る赤いサイレン灯だけだった。
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