act19 家族だろ

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「お前は好きなようにすればいい。俺だって優月だってそうしてる」 「でも兄さんが……」  カケルは首を横に振った。 「お前がやりたいようにやるのが一番の幸せ。優月もそう思ってる。あれはその……あの時の言葉も嘘じゃない気持ちだとは思う。でも考えは同じ。協力する。お前がやりたいことが出来るように、海の向こうの行き方教えてやるよ。それが知りたくて俺に話をしたんだろう?」  それもあるけれど、って、俺は口ごもる。  本当にいいのかな。俺我が儘じゃないかな。いや我が儘だ。  でもその我が儘をカケルも兄さんも許してくれるって。 「水臭いな、家族だろ」  俺はカケルを見上げた。  月明かりと机の灯りだけが優しく照らす部屋で、カケルもまたそんな風に笑ってる。  俺はちょっと深呼吸して、カケルの胸に抱き着いた。カケルは俺の頭をわしゃわしゃ撫でてくれる。 「そのユキくん、ってなんて言う名前なの?」 「……文雪。神野文雪」  ふみゆき……とカケルはなにかを考えるように呟いた。  
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