Ⅰ)incipit

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Ⅰ)incipit

―2056年 人口知能をマウスへ埋め込むことに成功 世界中に激震が走った。 ―2057年 人口知能を埋め込まれたマウスが言葉を理解し始める ・場所と名前を言葉で説明し、その場所に行けと指示すると、迷子になることなく辿り着く ・複数の人間の名前と顔を記憶させ、誰がどう言う名前か当てることが出来る ただし、現在は音のみでの判別に限られ、文字では理解が出来ない ―2059年 人口知能を埋め込まれたマウスが人間の真似をし始める ・涙を流す ・人間の動作を真似る等 この映像は、全世界に配信された。 世界中が熱狂した。 恐怖を感じるもの、新しい時代の幕開けだと歓喜するもの、神への冒涜だと非難するもの、アニメのようで可愛いと暢気な感想を述べるもの。 ―そして、2060年 世界中のIT技術者や研究者は、2080年までに人への埋め込みの実現を目指すことを発表した。 第2次人工知能ブームがやってくる。 巷は、人口知能の話題で持ち切りだ。 アンドロイドやロボットとは違う。 感情と自我のある“人間”への埋め込み。 これまで、人工知能の導入を見送って来た企業でさえ色めき立ち、導入済みの企業では、人工知能検討プロジェクトと名付けられたプロジェクトの乱立がトレンドとなった。 ―2065年 アメリカの発案により、極秘裏に、あるプロジェクトが立ち上げられた。 加盟国は、アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国、そして日本の6か国だ。 “AI Revitalization Project” 略して、“ARP”である。 和名では、“人工知能活性化計画”とも。
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