1.この豚っ!

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「ちょ、大丈夫~? カリン!」  心配そうに、カリンの取り巻きの友人共が、カリンの心配をする。僕は、痛い頬を抑えながら、ふらふらしていると、カリンは調子に乗って、また、こんなことも言いだした。 「気持ち悪い! こんなスケベな奴が、私を好きとかって、考えただけで吐きそうだわ」 「は? まてよ、お、お前のことなんて、何とも思ってない!」 「はあ? あんた、鏡見たことあんの? 見ればわかるでしょ? このモヤシメガネ豚が!」  カリンは、本気で言っていた。目も合わせてくれないし、嫌がっている顔の表情や、リアクションでもわかる。言っている言葉自体に、心の根底から言っている感じもあった。  そうだよな。でも、故意とはいえ、体を触ってしまったのもある。僕に引け目がないわけでもない。このまま、僕は高校の道を一歩踏み外すのか。好きでもない、カリンの身体を触った変態として、クラス全員に誤解された。  ボクは、ユキヤに視線をやる。  カリンはユキヤの後ろのほうから、睨み付けてくる。まるで、友達を奪うなというように。 「ねぇ、ユキヤくんも? こんな奴の相手してるの、時間の無駄だよぉ、速くいこうよ、つぎの体育の授業に遅れちゃう」     
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