0人が本棚に入れています
本棚に追加
1.この豚っ!
――午後に差し掛かる、一寸手前の、十二時頃。インテリでモヤシメガネ男の僕には、汗だくになって向かう先はとある戦場だ。
群がる生徒を交わしながら、軽やかなステップで疾走する。僕は、昼飯時は忙しいのだ。
ドドドッと、一斉に足音を立てて、その場所へと向かって行く。
僕たち一年生は、学校の校舎から外へ抜けて、体育館の裏道を通り、そこにある花壇の茂みの上を飛び越え、薄青色のコンクリートの旧校舎に向かう。校舎に入ったところで、保健室を通り抜けていく。そこから見えてくるのは、廊下に張り出した購買部のワゴン売り場だ。一斉に群がる、生徒たちの集団を、かき分けながら、ようやく、その一角へ向かう。
そう、そこは、学校の戦場、食品購買部だ。
週に一度やってくるパン屋で、人気はベルギーチョココロネパンと、本物と名高い群馬県産もち豚を使用したハンバーガー。それが、半額になる。
「くそおお、間に合えよぉぉ!」
必死になって、パンに手を伸ばす。
最初のコメントを投稿しよう!