0人が本棚に入れています
本棚に追加
「そのまさかよ!」
カリンが、何気にやった視線の先には、奴がいる。彼女、僕のライバル!
美しい髪は、風に揺られ、それとは逆に、雄々しい仁王立ちを、こちらに見せつけていた。身体は相変わらず、雄々しいというよりは、華奢なのだが、その眼光からは、できる女の感じもする。窓越しに見ても、美しい彼女だ。
「くそう、何だろうこのギャップは」
違和感といえば、そうなのかもしれないけれど、可憐な女の子が、ああも目立つポーズでいるのは、不思議と格好いい。女ライバルを格好いいなんて、思ってしまっている自分に、何にか、僕は、複雑な感情を抱いていた。
「威嚇してるのか? 見た目は華奢なのに、仁王立ちは、ギャップ有りすぎだろうになぁ?」
僕が、何だかもやもやしているところに、彼女の唇から、赤い舌が飛び出してきた。「ベーっ」という声が聞こえてきそうだったが、プイと後ろを向かれて、僕は、余計に腹が立ってきた。
「僕に、何の恨みがあるんだよっ!」
「はっ、嫌われちゃったわね?」
カリンの冷たい言葉が、僕の心をぐっさりと貫通させる。
最初のコメントを投稿しよう!