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「ん、もしゃもしゃ、う、うまいぃぃぃっ! この芳醇なカカオの香り、質のいいシュガーの甘さに、きめの細かいチョコクリームの味! 口の中が蕩けそうだぁ!」
「くぅっ」
悔しそうな顔の藍。一方、カリンは、あきれ顔で、何かをさとそうとする。
「大人気ないわよ、サダメ! やめなさいよ!」
「まあ、僕だって腹減ってるからな。これ以上は、なぁ?」
そう呟きながら、僕は、自分の席に向かって歩きながらチョココロネを普通にほおばろうとした。次の瞬間。足元が見えていなかったのか、僕は、下に置いてあった、誰かのカバンに足を引っ掛けて、前のめりにすっ転んでしまう。
「きゃ、きゃあっ」
僕はその場に転倒した。しかし、痛くない? 目の前に柔らかいクッションがあった。
「ちょっと、どこ触ってるのよ!」
そのとき僕は、カリンも巻き込んで、その場へと倒れていたのだ。カリンの身体が、僕の目の前にあったおかげで、僕は、危うく転倒を免れていたようだ。不注意とは言え、折り重なった相手は女の子。眼の前は柔らかいといえば、相手の懐、いや、そこまではいかなくとも、バストの上ということであり、これは、非常に気まずい。
「このっ、変体メガネっ!」
バチンっ! と音を立てて、僕の頬をカリンの右掌が、直撃した。ラッキースケベとはよく言ったものだが、そのあとは痛いことになるのも宿命か。
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