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祭りの終わり(ハリー)
三日間にわたった婚礼の祝祭も今日が最後。
何処か名残惜しい空気も残る町中に、ハリーはコンラッドと一緒にいた。
通りを見下ろす個室の店から、ハリーは寂しく光景を見ていた。
「なんだろうね。この、お祭り終わりの妙な寂しさ。日常に戻りたくない感じ」
「分からなくはないが、仕事は仕事だろ」
苦笑するコンラッドは、とても近い距離。個室で他に目もないから、隣りにそっと寄り添った。
「ハリー?」
「んっ、楽しかったなって。俺、打ち上げ出られなかったし」
季節の変わり目と遠征の疲れと気の緩みで軽い風邪を引いたハリーは、結局同期の打ち上げに出られなかった。思わずコンラッドに当たってしまったが、翌日ずっと側にいてくれたのでそれはそれだった。
肩口に頭を寄せれば、自然と肩に手が乗って抱き寄せてくれるようになった。肩にかかるその手に、ハリーはそっと触れた。
「コンラッド」
「ん?」
「有り難う」
「え?」
驚いたような声。見れば目もそんな感じだ。驚いて見下ろす瞳は、意外なものでも見るようである。
「俺の事、助けにきてくれて。教会で、さ」
「あぁ……」
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