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 「見る目」「封じる力」を持つ僧侶の抹消、町の拝み屋連中の取り潰し、村に残る「真実の目」を持つ人間からは力を奪い、誠の敵となりそうな連中を限りなく排除しようと奮闘していた彼だか、人間の数は残念ながらあやかしの比ではない。どれだけ能力者を取り除いたつもりでも、安心なんて出来るはずもなく。  そこへきて予想もしなかった人物の登場。新の報告を聞き、白にしては珍しく自身の思考に意識だけが持っていかれ、半寝半起き状態とは言え、誠が目覚めていることに全く気づく様子もなかった。  なので誠も素知らぬ振りして、新の報告に耳を貸し、そして思い出していた。そういえば敵とも味方とも思えない眼差しで、此方を見ていたような気がする、とある男の存在を。  ただ誠がその男の存在を無視したのは、イヤな予感しかしなかったからだ。まるで自分を値踏みしてくるようなあの眼差しは、忘れたいのに忘れさせてくれない、自身の原罪を突きつけてくるようで。  思わず身を守るように震えた誠に、さすがに気づかない白ではなく、「誠?」と名を呼ばれ髪をかき混ぜられた。  誠はそんな限りなく優しい白の掌を掴みあげると、言った。 「俺の心配、してる場合ですか。あんた、手、震えてますぜ。その男、あんたとどういう関係で?」  訊いたのはわざとだった。白は自分に嘘はつかない。  けれども何時だって本当のことを喋るとは限らない。  今回は後者の立場を貫くだろうと予想した上で問うたつもりだったのだから、誠は白の言葉を最初から重く受け止めるつもりはなかった。 「───おまえには関係ない存在だ。だから気にしなくていい。だがその村にはもう二度と近づくな」  その村には近づくな、か。  誠は白の言葉に白の掌を握り返すことで答えとしてやった。だが。 (俺があんたの───あんたと劫の過去を知りたいと思うのは間違いなのかな。許されないこと?)  白の冷たい掌を握り締めながら、らしくもなくそんなことを思った誠だった。
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