『舞』と『誠』

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「……取り敢えず、遅くなる前に帰んな」 誠と名乗る男は、そう言うとテーブルの上に置かれた…… 恐らくアンケート用紙と一緒に添えられた鉛筆を手に取り何かを書き始めた……。 「これ、俺の連絡先だからさ」 「何かあったら電話しろよ」 「話くらい聞いてやるからさ」 突然なにを……とは思ったものの、私は誠が差し出したメモを黙って受け取った。 「分かったら帰れよ……」 「今なら、遊びに行ってたって言い訳できる時間だろ……?」 ……私は彼の言葉に、特別なにか返事をする訳でも無く…… 涙で濡れた瞳を隠すように、無言で彼に背を向け……部屋を後にした。
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