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 そう言って、カナイを家に送ると山本と新田とジュリは、車の波の中に消えて行った。           17  月間売上表がまた更新されていた。  前回2位だったミカは、あれからまた客とトラブルになって辞めた。  今度こそカナイが2位になるかと思われたが、前回1位だったユカリが2位になり、新人のカエデが1位になった。そしてカナイはまた3位になり、そのすぐ下に2ポイント差で新人のショウコが居た。そして、ジュリはその下の5位、リョウは前の銃撃の件が怖くなったと言って辞めて行った。だが、タマキは残って、今月は8位になっていた。  カエデとショウコは一緒に入ってきて、客席に付くのも大抵一緒だった。カエデのいきなりの1位は毎日来る大口の客のおかげであった。  そして、月が替わるのと同時に尾崎が移動になり、代わりに田辺という店長が入った。  だが、店長をしたことがないのか、女の子を回すのが雑で、客の趣味を考えず、端から順番に来た子を付けて行くということをしていた。  コールする時も、会話の雰囲気を読めず、盛り上がっている時に呼んでしまい、客を白けさせた。 「カナイちゃんいるじゃん!」  待機席に居ると、声を掛けてきたのは、カエデをいつも指名している大本という大口のお客だった。  いつもカエデを指名しているのに、他の女の子も気になり、でも他の子を指名する勇気もなく、トイレに行った時に待機席の女の子にちょっかいを出していた。店側も大口の客なので大目に見ていた。
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