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「そう!スカウトなんです!どうですか?こんなに女の子いっぱいのお店じゃ指名取れないんじゃないですか?近くのアリスってお店なんですけど、うちなら、そうだな君だと時給3000円は出せますよ。もちろんおさわりはないし、チャッチもありません」
さっきと打って変わって、饒舌にしゃべり始めた。
しかし、カナイのことを知らないのだろうか。ユカリには追いつけないが店内3位の指名を貰っているのだ。時給3000円で済むはずがない。
「お言葉ですが、私はもっと貰っているので・・・」
これで少しは気が付くかと思ったが、単に不服と捉えた様だ。
「じゃ、3200円ならどうですか?それならここより多いでしょう」
そういう問題じゃないのだが、ちらりと田辺を見たがこちらに気が付いていない。
「失礼ですが、代表が黙っていないと思いますので引き抜きはお断りします」
「そうですか・・・」
と、明らかにがっかりした様子で客はまた前を向いた。それ以上にこちらに用事はないらしい。
「カナイさんお願いします」
コールが掛かったので、「失礼しました、ごゆっくり」と挨拶をして席を立った。
カナイはコールを掛けに来た、ウェイターの内田にこっそりと「さっきの客引き抜きだった」と耳打ちした。
カナイが座っていたところにはもう別の女の子が座っていたが。スカウトの客は同じ様に前面を見ていただけだった。
その後すぐに別の客のところにフリーで付いていたので分からないが、スカウトの客はあの後帰ったようだった。
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