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「長崎行ったことありますよ、修学旅行で」
本当だった、中学の修学旅行だけはカナイは出たのだ。
「大学をこっちで出てさ、そのまま親父の親友の会社がこっちにあって入れてもらったんだけど。向こうにも工場があるんだよ」
「そうなんですか」
本当の仕事の話は初耳だった。やっぱり殺し屋じゃなかったか。
「それでね、遊んでないで帰ってこいって親父が言ってさ、帰ることになったんだ」
「え?」
小野の顔を見た。嘘を言ってる顔ではない、真剣な眼差しで言っていた。
「いつですか?」
「明日、新幹線でね」
(もう会えなくなる)
言葉に詰まっていると、小野が手を握ってきた。
何も言えなかった。小野が言った事実を飲み込むので精一杯だった。
「すみません、失礼します。お時間ですが」
田辺が延長の伺いに来た。
「帰りますので、清算お願いします」
「分かりました、少々お待ちください」
そういうとレジの方に向かった。
「・・・いつですか?」
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