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春が近づくころ、カナイは借金を返し終わっていた。
とうとう、1位になることはなかったが、人見知りを治せたのは1位を取るより何より財産になった。
辞める前に、お客さん一人一人にお礼の電話をし、最後の日にたくさん来てくれた。中には花束をくれた人もいた。
名無しの権兵衛さんは中々連絡が取れず、結局辞めた後に電話が掛かってきた。
他の客ともだが、縁が切れる訳ではないので、「たまに飲みに行ったりしましょうね」と言うと。
「いや、もう水商売辞めるなら連絡は取らないほうがいい。これでおしまいにしましょ、今までありがとう」
そう言って、二度と電話をしてくることはなかった。
店の方は、例のライバルグループの方がこっちの地方の店を全面的に閉店させたらしく。一難去ったといった雰囲気だと言う。
ジュリは店を辞め、今はスナックで働いてるらしい、リョウやタマキはH駅よりもっと繁華街のところの別の店で働いている。サエもチヅルも行方知れずのままらしい。ただ、リョウタだけは近所の人が子供が放置されていると通報したらしく、児童相談所に保護されたとのことだった。
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