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「なんだ、全然しゃべらないじゃないか」
「えっと、いい天気ですね」
「あ?今日はくもりだったろうが」
どうやらはずしたらしい。
(あとはニュースとか・・・)
「国会の答弁が賑やかですよね」
「それ、キャバクラで話すこと?」
確かにそうだが、キャバクラとかで一体何を話せばいいのかわからないのだ。
「あ、そういやお名前なんて言うんですか?」
「篠田」
「あ、篠田様とおっしゃるんですね、どこにお住まいですか?」
「プライベートなことは言いたくない」
かなり不機嫌になってしまったらしい。
そりゃそうだ、目当ての子じゃないし、しかもこんなへんてこな話をしだすオドオドとした子が来たらだれでもそうなるだろう。
話もほとんど出来ないままに15分経つと、カナイは尾崎に呼ばれた。
「ユカリさんとチェンジね」
やっとお目当ての指名の子が来たことで客の機嫌も良くなって、そのまま延長もしたらしい。あの流れからどうやって延長にこぎつけたのか、カナイには不思議でしょうがなかった。
待機席に戻ると、遅れて出勤してきた子達で一杯になっていた。その隙間にそっと座らせてもらい、 こっそりスマホを見ると、もう22時だった。
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