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 もうすぐ電車の時間も無くなるが、お客達がどうやって家に帰るのだろうと思っていると。 「カナイさんちょっと」  尾崎が呼ぶのでもしかして、さっきのお叱りか?と身を固くしていると。 「チヅルさんもこっち」  と他の女の子も呼んだ。どうやらさっきのことのお叱りではないらしい。 「これから須藤と一緒にキャッチに行ってきてお客さん捕まえてきて」  何枚かの派手に印刷されたビラを渡された。これを見せながらお客を捕まえるらしい。 「は~、チャッチか~。かったるいね」  チヅルと呼ばれた女の子は、黒いスーツにうっすら染めた長い髪を纏めあげていた。身長はヒールのことを考えてもカナイよりも高い。 「カナイちゃんって言うんだっけ?私チヅル、よろしくね」 「あ、はい。よろしくおねがいします」 「じゃ、一緒に行こうか」と須藤が来たので3人でエレベーターに乗った。 「カナイちゃんってさ、もしかしてこういう仕事初めて?」  エレベーターの中でチヅルが聞いてきた。 「そうです」 「やっぱり!貸衣装だからそうだと思ったんだよね。そっか、じゃあ一つ教えたげるね」  なんだろうと緊張していると。 「この仕事のコツはね、自分も楽しんじゃうこと」
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