70人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
「何入れましょうか?」
もし本当にデュエット曲であっても歌えない。何しろ人生の中で歌う機会なんてなかったのだから。
だが、心配をよそに佐々木は、最近流行の男性グループの曲を選んだのでほっとした。
「カナイちゃんは何歌うの?」
チヅルに言われて自分も入力していいのだと気が付く。
(得意曲と言うと、アニソン等になっちゃうんだけど、いいのかな)
でもここでアニソンを歌っている人なんてたぶん居ない。さっきから他の客が歌っていたりするが、演歌や流行の曲ばかりだった。
(ここは空気を読んで流行の曲にするべきか・・・)
カナイはなんとか歌える女性アイドルグループの曲を入力した。というかそれしか歌えないので選びようがなかった。
(話、話をしなければ)
「佐々木さんって一人暮らし?」
「いや、親と暮らしてる」
チラシ配りのお給料ってどれぐらいか知らないけど、バイトだったら時給1000円ぐらいだもんね。飲み歩くなんて無理か。
「会社違うのにお二人仲がいいんですね」
「ああ、同じ場所で配ってるとお互いのこと話し合ったりで仲良くなることもあるんだよ」
「へぇ、そいういうもんなんだ」
(話題を一生懸命探しているが次が出てこない。次は何を話しかければいいんだろう)
最初のコメントを投稿しよう!