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それからというもの祖父母に懐いていたからでもあったが、気力が沸かず勉強にも身が入らない状態。葬式以降不登校を重ね、最終的に留年するかどうかのところで、以前からの読書が幸いして最低限の学力はあるから、という理由でそのまま中学校を卒業してまった。  学校の先生とハローワークの担当者と面談の末両親の反対はあったが、強い意志で地方都市の寮付きの会社に入社し、なんと夜間の通信制高校に通うというとんでもないことを言いだしたのだ。このままで終わりたくない。元の軌道に戻りたいその一心だった。  だが高校は途中で投げ出し、高卒認定試験を受けて合格し〝高校卒業者と同程度〟になった。しかしそれ自体は素晴らしいし褒められるべきことだっただろう。学校はほとんど行ってはなかったが、多数の本を読んだ成果だった。  だがそこで反動が出てしまった。3年世話になっていた会社を飛び出すように辞めてしまったのだ。原因は社内で付き合っていた人が新入社員に乗り換え真智を振ったたからだった。それ以外の原因がなかったわけでもないが同じ会社にいていちゃついてる二人を見るのがつらくなったのだ。  もうそうなると元の軌道に戻るどころではない、大学に行く夢も初めての失恋のショックから受ける気にもなれずうすぼんやりとしていると、変な男にナンパをされそのまま関係を持ってしまい付き合っているのか付き合っていないのか分からないまま貯金を食い尽くされ、更に借金を背負わされたのである。貢ぐ金がなくなるとすぐに連絡が取れなくなり、借金だけが手元に残ったのだ。  普通に生活していては返しきれないほどの金額になり、バイトでは返せなかった。  そしてあれよあれよという間に窮地に陥ったのであった。本当に昔の人は良く言ったものだ。「昔神童二十歳過ぎればただの人」と。  真智は覚悟を決めてコンビニで就職情報誌を手にとった。
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