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(このまま手首へし折ったろか!)
必死の形相になりながら、佐々木のおさわりを抑え込んでいた。
「カナイさんお願いします」
尾崎が声をかけてきた。やっとこの席を離れれる。
「失礼しました、ごゆっくり」
最低限のマニュアル通りの挨拶をして席を立った。
尾崎がおさわりに気が付いて助け舟を出してくれたのか、と思ったがそういう訳ではなく、単に時間だっただけのようだった。特に何を言うでもなく待機席へ行くように指示された。
「えっと、カナイちゃんとジュリちゃんとサエちゃんは今日はここまでで、入口の方で待っててね、送りあるから」
ウェイターの一人にそう言われた。
「あの、それってクビってことですか?」
「え?クビ?そんなの聞いてないよ。尾崎さんになんか言われたの?」
「いや、特には。ただ、さっきのお客さんおさわりしてくるお客さんだったので・・・」
「あ~、そういうことか。そんなのしょっちゅうだから気にすることないよ。カナイちゃんも上手くあしらえるようにならないとね。単純にお店が暇だから帰ってもらいましょうってだけ」
気にしない気にしないと笑顔で去っていった。
「カナイちゃんおさわりされたの?」
ジュリが聞いてきた。
「うん、歌ってる時にお尻とか胸とか触られて・・・」
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