13/14

70人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
(このまま手首へし折ったろか!)  必死の形相になりながら、佐々木のおさわりを抑え込んでいた。 「カナイさんお願いします」  尾崎が声をかけてきた。やっとこの席を離れれる。 「失礼しました、ごゆっくり」  最低限のマニュアル通りの挨拶をして席を立った。  尾崎がおさわりに気が付いて助け舟を出してくれたのか、と思ったがそういう訳ではなく、単に時間だっただけのようだった。特に何を言うでもなく待機席へ行くように指示された。 「えっと、カナイちゃんとジュリちゃんとサエちゃんは今日はここまでで、入口の方で待っててね、送りあるから」  ウェイターの一人にそう言われた。 「あの、それってクビってことですか?」 「え?クビ?そんなの聞いてないよ。尾崎さんになんか言われたの?」 「いや、特には。ただ、さっきのお客さんおさわりしてくるお客さんだったので・・・」 「あ~、そういうことか。そんなのしょっちゅうだから気にすることないよ。カナイちゃんも上手くあしらえるようにならないとね。単純にお店が暇だから帰ってもらいましょうってだけ」  気にしない気にしないと笑顔で去っていった。 「カナイちゃんおさわりされたの?」  ジュリが聞いてきた。 「うん、歌ってる時にお尻とか胸とか触られて・・・」
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加