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 そんな達観した領域まで行ける気がしなかった。  そうこうしているうちに、ステーキが出来上がってテーブルに運ばれてきた。 「わぁ、おっきい。これで1000円って安くない?」  チヅルが目を大きくして感動している。  確かに目の前に並べられたステーキは手のひらが隠れてしまうぐらい大きい。  いつかこの二人の様に、指名をいっぱい取れるようになる日が来るのだろうか。そんなことを思いながらステーキを食べた。  ステーキを食べ終わった3人は、会計を済ませると、モールの中のパウダールームに向かった。  そこでカナイは二人のお化粧の仕方をこっそり見たりしていると、リョウが白いマスカラをカナイの睫毛の先に塗ってくれた。 「お化粧頑張った日って、指名すっごい取れる気がするんだよね」  と、微笑みながら言ってきた。 「だからカナイちゃん、今日は指名取れるよ」 「ありがとう」 「本当だよ、間違いないから」  優しい先輩に当たって良かったと思いながら鏡越しに微笑んだ。
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