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チヅルと達と夕食を取ったその日は、ヘルプとフリーの客の席でゲームに負けてしこたま飲んでいた。
基本キャバクラもそうだが、女が男をもてなす仕事でゲームをするとなると男の方が断然有利なものになっている。男を気分よくさせるのだから仕方のないことだ。
罰ゲームは大抵一気飲みになるので、キャバクラで出されるカクテルは薄めに作ってることが多い。その分客には濃いめの水割りを作ったりして、無茶できない様にしてる。
待機室で酔いからぼんやりしていると尾崎が声を掛けてきた。
「カナイさんお願いします」
「あ、はい」
次はどこのヘルプかフリーか、できればもうあんまり飲みたくはない。
「カナイさんです、どうぞ」
「カナイです失礼します」
案内されたところにはロマンスグレーと言っていいぐらいの白髪交じりの初老の客だった。
「はい、いらっしゃい」
初老の客は笑顔でカナイを迎える。
(なんだろう?この笑顔おさわりとかしてくるんじゃないでしょうね)
警戒しながらも横に座った。
「何か飲む?おなかは空いてない?」
「あ、じゃあファジーネーブルいいですか?」
「いいとも」
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