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「え、そうですか?」
「うん、えくぼできるでしょう?そこがすごくかわいい」
カナイは両方のほっぺにえくぼができる体質だった。
「そうですか?みんなと違っていて、恥ずかしいんです」
それは正直な感想だ。大体人と違ったところを持っているといじめられてきたから、えくぼも憎らしく思っていた。
「いいじゃない、かわいいんだから。ほら、もっと笑って」
「こうですか?」
優しく微笑んで見せた。
「うん、いいねかわいい」
こんなにかわいいかわいいを連発されたことがないので、段々恥ずかしくなってきた。
客の方はもっと笑ってと言ってくるので、二人してきゃっきゃうふふ、と延々と笑い続けた。
そんなことをしていると、時間になったのか、尾崎が呼びに来た。
「カナイさんお願いします」
「すいません、それじゃ」
「え、もう行っちゃうの?帰っちゃうとか?」
驚いた顔で初老の男が聞いてきた。
「いえ、そういう訳ではないのですが・・・」
「よろしければカナイさんを指名して頂ければ、お客様がお帰りになるまでずっとお側に居ますよ」
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