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名無しの客はそれからも週に2回のペースで来るようになった。それもいつも24時前後からラストまでである。その間ずっときゃっきゃうふふというわけで、そればかりだと少々飽きてきたりするものなのだが、客の方は一向に飽きる気配がなかった。
名無しの客のおかげで、自分でも指名が取れると自信が付いた。肩の力が抜けたのか、他の客との会話にも困らなくなった。
もちろん陰ながらの努力もある。
カナイはチヅルに言われた通り、車の雑誌や釣りの雑誌。サッカー、ラグビー、果てはゴルフの雑誌やアイドルの雑誌にも目を通すようになった。
出勤前にTVとネットで、毎日10個の話題を見つける。これだけ見つければ、大抵相手が興味持つネタが転がっているので、入念に情報を吸収していった。
その他にも少年青年漫画にも目を通していた。結構な割合で漫画好きはいる。アニメも見たかったが、時間が足りないので、どういうのがやっているのかリサーチするだけに留めた。
あとはゲーム、これも各種あるが、どんなものが出るのかだけリサーチした。
こうして話題をいくつか振ってみると、あとは自分たちから自動的に話しだす。こちらが知らないことだと、得意満面になって説明してくれるのだ。そういうことも男のプライドをくすぐるコツのようだった。
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