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ここ最近の分の女性アイドルのグループの振り付けも覚えた。もちろん手だけでキレもない振り付けだが、そこまでやるキャバ嬢が居ないのでアイドル好きのお客には好評だった。
メイクも勉強した。雑誌だけでなく、ドラックストアーにある化粧品コーナーでメイクしてもらったり、エステの付属で付いてるメイクアップを試したりした。
髪型にも気を使い、きちんと美容室で染めるようになった。もちろんトリートメント付きで。おかげで斑だった髪の毛の色は綺麗な茶色に統一されていた。
服装も貸衣装ではなく、自前のものを使うようになった。
もちろんお金はその分かかったが、その頃には指名をされない日はないほどになっていた。何しろ毎日20件以上は客に連絡を取っていたのだ、そのうちの一人ぐらいは指名で来てくれてた。
そんなこんなで、オープンから3か月が経とうとしていた。
「カナイちゃん雰囲気変わったよね、髪型のせいかな?」
唐突にチヅルが言ってきた。今日はまだお客が入っていないので二人とウェイターの齋藤と一緒にいつもの四つ角でキャッチに出ていた。
「そうかな?あ、でもお客さんと話するのは苦じゃなくなってきたよ」
努力をしていることを知られるのは客であっても、同僚であっても無いほうがいいというのがカナイの考え方だ。努力をしているということで。小学生の頃に嫌と言うほどいじめられたのだから仕方がないのかもしれない。
「チヅルさんのおかげだね」
にっこりと微笑む。
「あらぁ、じゃあ今度何か奢ってもらわなくっちゃね」
「いいよぉ、この近くに新しい焼肉屋さんあったからそこでも行く?」
「やだ、冗談よ~。でも肉好きのチヅルさんは乗っちゃいそう」
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