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「いや、みんなは知らないかな。ジュリちゃんとリョウちゃんぐらいしかわからない」
客の連絡先を聞くのは慣れてきたが、女の子同士での連絡はなかなか聞けないでいた。
「私がみんなに連絡しとくよ。明日でいい?」
「うん、私は大丈夫」
「じゃ、決まりね」
「チヅルさん、ありがとう」
どういたしまして、とチヅルは微笑んだ。
店に入ると団体のお客さんが入ったらしく、賑わっていた。
「チヅルさんとカナイさん、団体のフリーのお客さんところね」
尾崎が忙しそうに先ほど入ってきたという団体の客のところへ連れて行く。
「じゃ、チヅルさんはこちらで、カナイさんはこちらのお客様に」
右から順番に座らされる訳ではなく、尾崎は確信をもって客の好みそうな女の子を選んでいるようだった。
それが毎度不思議で、前にフリーで指名が取れなかった別の女の子から「あの客からはお前なら絶対に指名が取れるはずなんだ」と言われたと言ってたのを思い出す。
一体どういう理屈で取れるはずなんだと自信たっぷりに言えるのか、カナイには分からなかった。
だが、他のお店を知っている女の子の話では、尾崎は相当女の子を回すのが天才的に上手いらしい。リョウなんかは、ほとんど尾崎の力量で店が持ってると言ってた。
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