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 中にはカリスマ的に心酔している女の子も複数居るようで、店でNo1であろうユカリもその一人だった。 「こちら失礼しますね」  尾崎に案内されたお客の側に行くと「どうぞどうぞ」とスペースを作ってくれた。 「初めまして、カナイです」  そう言いながら名刺を出す。暗がりでよく見えなかったが、なかなかのイケメンだった。つまりカナイの好みだった。 「はい、初めまして」  微笑みながら名刺を受け取るその客はなんというか、この客は今まで会ったことがないタイプだなと思った。古い言い方をすれば美丈夫とか、益荒男とかそんな感じ、筋肉質だがそれを感じさせない。  製本所でも筋肉質の男は見てきたが、これほど色気を感じさせる人はみたことがなかった。 「筋肉すごいですね、お仕事で体を使われてるんですか?」  肉体労働ですか?と聞かないのは言葉にあまり良いイメージがないからゆえの配慮だった。 「仕事?なんだと思う?」  こういう質問返しが一番困る。二十歳そこそこじゃそんなに世間を知らないから知らない職業もいっぱいあるのだ。 「え~、なんだろう?」  そう答えながら周りの客を見る。だが、一緒に来ている他の客は筋肉質というわけではない。 (単に筋トレマニアって場合もあるけど)
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