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「小野さんって、筋肉マニアとか筋トレマニアとか、ボディビルとかしてるんですか?」
「ううん、そんなのはやってないけど。剣道って女子もやるでしょう?強い子なんかは手の甲に血管が浮いてたりしてたなって」
「へぇ、それって小野さんの初恋だったりして」
「それはない、カナイちゃんは何かスポーツしてたの?」
「小学校の頃にソフトボールやってたぐらいで。あとは高校時代はガテン系の仕事しながら通信の学校行ってました」
「へぇ、ガテン系の仕事しながらで通信とは苦労してるんだね。女の子でガテン系ってすごいな」
本当は女性の社員はそこまでしなくても手伝い程度で良かったみたいだが、あれもこれもと目に付いたものをやっていくうちに、周りの男どもが自分の仕事を手抜きし始めて。結果その分の力仕事もすることになったのだ。
「ソフトはどこ守ってたの?」
「ショートの4番です」
「おお、やっぱりがっちりしてるもんね」
女の子に向かってがっちりしてるは褒め言葉じゃないだろうと内心思いながら「ただ1勝もしたことない弱小チームですけどね」と付け加えた。
「剣道とかかっこいいですね、やってみたかったな」
「今からでもやればいいじゃない、この辺でも教室とかやってるでしょう」
「いやいや、剣道やってるキャバ嬢ってどうなんですか。夜の蝶なんですから儚くないとだめでしょう」
「そんなことないよ、強い女の子に憧れる男っているよ」
「そうですかねぇ」
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