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3週間後、やっとチヅルが店に顔を出した。
随分長いこと休んでいたので、もう辞めてしまったのではないかと噂があったが、そんなことはなかったようだ。
むしろ休む前よりふっくらしていたので、薬をやってるという噂はやはり噂でしかなかったのだなとカナイは安心していた。
病気の内容については、聞こうとするとはぐらかすので、深く追及しないことにした。誰でも聞かれたくないことはあるものだ。
「今日の通りの客はしょっぱいね~、全然捕まんない」
復帰した当日からチヅルとキャッチに出ていた、サポートのウェイターは今日は内田だ。
「なんか一緒にキャッチするの懐かしい気がする、たった1か月前なのにね。もう体は大丈夫なんでしょう?」
つい嬉しくてそんな話をしてしまった。
「う~ん、でもいつまでいるかちょっとわかんないんだよね」
ね、チヅルはと内田に目配せをした。
内田もそれに頷く。
(どういうことなんだろう)
こうやって秘密を共有してるのを見せられると、置いてきぼりにされた気分になる。
それ以上は悪い予感しかしなかったから聞かない様にした。聞いてしまうと余計に奈落の底に落とされそうな気がしたのだ。
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