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確か高額な布団を日本全国に売り歩いてると言っていたはず。
(怪しい仕事だよな)
と、思ったが。客の仕事で客を選べる身分じゃないので笑顔で対応した。
「今日やっとこっちに帰ってこれたんだよ」
「本社がこちらなんですか?」
「いや、東京だけどね。俺の地元がこっちだからさ、全国行脚した後は帰ってくる訳よ」
梅田の売っている高級羽毛布団を見たことがないが、話から察するにはっきり言って詐欺だと思う。しかもかなり昔からあるタイプの詐欺だ。
サービス券とかで客を集めておいて、徐々に高額な商品に移っていき、最終的には高級(中身はそうでもないかもしれない)羽毛布団を売りつけるというやつである。ついでに客の中に潜ませておいた仕込み客の購買力で、狙いの客の倫理観を崩していくという、今や古典的な方法だ。
こんなに古典的な詐欺でも、仕事が成り立っているようだから、やっぱり騙される人も居るんだろう。もしかしたらガマの油売りの実演販売だって今もあるかもしれない。
「仕事をさっとやって、さっと終わらせて去るのがプロだよ」
と、お世辞にも褒められたことではない詐欺を堂々と言ってのける。
一応お客なので御愛想で微笑んでおくが、カナイは悪ぶってる人が嫌いだった。キャバ嬢になったと言っても、道を踏み外すのは好きじゃなかった。
梅田は会社の名前も住所も言わなかったので、こっそり警察に言うこともできない。むしろこんな古典的な詐欺を今もやっているのかも疑わしいのでホラの場合もある。
あまり仕事のことは相手にしないようにして、いつも通りカラオケをしたらり、ゲームに興じたりした。
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