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「3日後にオープンで、内装工事が終わったばかりだから綺麗でしょ」  尾崎はこざっぱりというか、髪の毛を何もセットしていない洗いざらしという感じの髪型をしていた 。スーツ姿なのにそれがおかしくもない、不思議な雰囲気があった。歳は20代半ばといったところだろうか。  はぁ。としか返事が出来ずにいると、少し入ったところにある席に座るように言われた。 「えっと、小川さんの身分証明書と印鑑を出してもらえますか、それでこの書類に記入してくださいその間にコピーを取らせてもらいます」  身分証の保険証と引換のように1枚の書類を渡された、どうやらプロフィールを書くらしい。住所、名前、年齢、職歴を記入する欄はないが風俗関係の仕事をしたことがあるかどうか、そのお店の名前はどういったものかを書く欄があった。当然真智は未経験のところに丸をつけた。それと源氏名を記入する欄があったが、お店で使う偽名を源氏名と知ったのがこれが初めてだったぐらいだ。  しばらくすると、お茶の入ったコップを2つ持った尾崎が現れた。 「もう書けた?うん、年齢は大丈夫そうだね。うちはキャバクラだからね一応風営法に引っかかるから」  そういうとさっき持って行った保険証とお茶の入ったコップを差し出しながらくだけた笑顔で話しかけてきた。こちらは引きつった笑顔しか返せないのが悔しい。 「そっか、未経験なんだ。うちで初めてって子結構いるから、少しづつ慣れて行って貰えればいいからね。心配しなくても大丈夫、うちはおさわりはないから。あれ、源氏名書いてないね。どうする?なんか希望ある?」  本名はやっぱりまずいのかな。真智はまったく考えてなかったので適当に答えて行った。 「えっと、ジュリとかは」 「ああ、ジュリちゃんはもう居るね」
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