10

5/10
前へ
/115ページ
次へ
「まぁ、お前は元気がいいしな、酒は底なしに飲むし、店に大分貢献してるもんな。それぞれ、キャラが違うからいいんだよ。俺は酒をよく飲む女が好きだから」  新田がフォローを入れると、ジュリは機嫌が良くなった。 「でも、安心した。カナイちゃんが鮟肝知らなかっただなんて。いつも、なんでも知ってますって顔してるもの」 「そう?」  知識は豊富かもしれないが、人間関係の情報量は、レギュラーで働いてる女の子の比較にならないほど低いと思う。 「じゃ、これカナイちゃんの初鮟肝ね」  と、店主から受け取った皿をジュリが渡してくる。注文しておいてくれたらしい。  初めての鮟肝は、コクがあってとってもおいしかった。 「魚の肝を美味しいって感じるってことは、カナイも飲兵衛だな」  山本がそういうと満足そうにビールを飲んだ。 「いやぁ、そんなには飲めないですよ。特にジュリちゃんほどは飲めない。ビールもジョッキで2杯が限界なんです、それ以上はおなかが一杯になって飲めないんですよ」 「まぁ、普通はそんなもんだろう。ジュリが底抜け過ぎるんだよ」  山本は他にも面白いネタがないか、メニューを見ている。 「他はさすがに知ってるものばかりだろ?」  メニューを再度見たが、他には目新しい様なものは無かった。 「たまにクジラとか入ることもありますけどね、クジラのベーコン」 「クジラは竜田揚げしたものが好きだな、給食でよく出てた」
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加