70人が本棚に入れています
本棚に追加
山本は懐かしそうに話す。
「お前らクジラとか食べたことないだろう?上手いぞ、クジラの竜田揚げは」
カナイもジュリもクジラの肉を頻繁に見る世代ではない。
「捕鯨反対の運動が盛んだけど、いいと思うんだよね、日本は海洋資源でやってきたんだから」
男たちはそうだそうだと口々に言ってる。こういう話の場合はキャバ嬢は口を挟まない様にするに限る。白か黒かはっきりをするような話題は避けるべきなのだ。
「そろそろいい時間だし、ユニティ行くか。また尾崎に叱られるからな」
そう言って、山本は店主にお勘定をしてもらった。
4人が同伴出勤したのは12時近かった。前にジュリ達が同伴出勤を夜中の2時にしてきたときがあったらしく、さすがに日付が変わる前に来てくれと尾崎に言われたらしい。
ボックス席に付くと山本は雄弁にしゃべるタイプで、自分の武勇伝を語って聞かせてきた。
内容は、学生時代にやんちゃしていたことが中心で、相当悪だったとのことだった。
「あれはもうちょっとでヤクザとか、そっちの方に引っ張られるギリギリだったろうな」
「山本はあの時すごかったよな。他校のやつも一目置いてたし」
「ああ、今じゃ口にするのも憚られるようなこともしたもんな」
山本たちはゲームの類はあまり好きではないらしく、ひとしきり話し終えると清算をして帰っていった。
「ダブル指名もできるみたいだから、また来たらサエと指名するから」
最初のコメントを投稿しよう!