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「じゃあリョウとか」
「リョウも居るな」
「リエとか」
「リエも居るかな」
そんなにパッパと名前なんて浮かばない。どうしようと思ってると。
「友達の名前とか好きな漫画とかの登場人物とかない?」
そういわれても、ありきたりな名前しか浮かばなかったが、ある少女小説に出てきたぺーじ数にして2,3ページ分だけの主人公の親戚に当たる女の子の名前が浮かんだ。
「じゃあ、カナイとかどうですか?」
「うん、カナイは居ないね」
にこりと尾崎は微笑んだ。
しかし、カナイなんて昨今キラキラネームが流行ってるとは言え変わりすぎじゃないかとは思ったが、面接で緊張しきった状態で変更を言い出せないまま真智はカナイになった。
「服はそうだな、うちに貸衣装もあるからそれ使うといいよ」
やっぱりストライプのワンピースは水商売に合わなかったらしい。でも貸衣装かサイズがあるのか心配だ。真智はどちらかというと小柄ではなく、背は平均より高く160あった。
「じゃ、これ接客のマニュアルね。よく読んでおいて、今日はこれで終わりです。3日後の21時ごろには出勤してね、よろしくね」
マニュアルを渡すと最後に尾崎は右手を差し出してきた、握手らしい。緊張のあまりその手を真智は両手で握手した。
「よろしくお願いします!」
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