11

2/4
前へ
/115ページ
次へ
 本人に聞いてみてもそんなことはない、大丈夫だ。と言うが、ほとんど親が子供を宥める為の嘘を付いてるようにしか見えなかった。  もう一つは、新しく中部地方にあったキャバクラのグループが進出してきているという話だった  こっちは新しい店がオープンしており。そこが中部地方のグループのお店だということだった。規模としてはそれほど大きくは無いそうだが、その為の引き抜きが強引だという。この間からの引き抜きの噂はそこからだったようだ。 「でも、時給3500円くれるって言うのよ、何やらされるんだろうって思うわ」 「一応おさわりはないって聞いてるけど、入ってみないと分からないわよね」  女の子の待機席では、ウェイターに聞こえない様に、様々な噂が飛び交っていた。  一部の女の子はもうそっちの店と話を付けているようで、いつ辞めるか算段しているようだった。  その空気をピリピリと感じた亀田代表が、月1回のお給料明細の手渡しの時に一喝した。 「最近出来た店が引き抜こうとしていると噂が立っているが、うちのグループの威信を掛けてでも、引き抜こうとする店はすべて潰すからな!そっちに行こうとしてる子も覚悟しとけ!」 (潰すってどうやるんだろう。物理的に潰しに掛かったら器物損壊の犯罪だろうし。やはり政治的な何か、裏の筋を使うとかなんだろうか)  そんなことをぼんやりとカナイは考えていた。  カナイはというと、どちらかと言えば店に残るつもりでいる。3500円の時給は店内3位の実績を持つカナイにしてみると低く、魅力的には映らなかった。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加