11

3/4
前へ
/115ページ
次へ
 給料日が過ぎると月が替わって、月間売上表と順位は一新していた。ユカリがまだ1位なのに対して、次はカナイが2位になると思われていたが2位は新しく入ったミカだった。そしてカナイは指名ポイントこそ前月より20ポイント増えたが3位のままだった。リョウとタマキも体調不良で休む事が増えて、今月はランク外。ジュリとサエにしてもジュリはギリギリ10位だったが、サエはランク外だった。  ミカに抜かされたという事実を見せつけられて、カナイが憤慨するか何か行動を起こすと思っていた尾崎はカナイに詰め寄ってきた。 「お前新人に抜かされて悔しくないのか!」  こういう時、本当に男の人って順位とか競争とか好きだなぁと思う。 「お給料さえちゃんと一定以上あれば文句ないです」  そういうと、尾崎は呆れたような表情になった。  本当にそうなのだ、例えランク外になろうとも今のお給料がもらえていれば言うことはない。むしろ、そんなことで波風立たせて居心地が悪くなる方がこっちにとっては厄介なのだ。  カナイは名より実を取る主義であった。 「そんなにこの世界甘くないからな、やるならトップを目指せ!」  そう捨て台詞を言うと、尾崎は仕事に戻っていった。  そもそも平凡な顔をした自分が例えばトップに立とうものなら、女の間でどういう扱いになるのか考えてほしい。  大方二通りに分かれるだろう、堂々と嫌味を言ってくる人たちと、内心面白く思ってないのに取り入ろうとする人たち。そんな面倒くさい状況になりたいとは思わない。  女の中で本当の友達を見つけるのは難しいと思う、特に競争が関わってくる関係では。表面では穏やかに見えても、どこかしら探り合いの状態になる。  必然2番手3番手ぐらいが一番給料もいいし楽なのだ。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加