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それでもなんとかカラオケを勧めてみたり、今日のニュースの話題を振って見たりした。
「カナイさんお願いします」
またコールで呼ばれた、たぶん小野のところに戻るのだろう。
「すみません、指名がかぶっちゃってるので、また後で来ますね」
と、言い残して席を立った。
「お待たせしました、横失礼します」
小野の方に行くと、もう帰るころ合いだったようだ。
「ああ、残念。また来週だね」
大げさに小野は残念がってみせ、「また電話頂戴ね」とウィンクしてきた。
カナイとしても、小野との時間はとても楽しいものだった。小野の席に着くとオアシスの水に入った魚になった気分だった。
「はい、楽しみにしてます。また連絡しますね」
笑顔でエレベーター前で別れを告げ、小野達はは去っていった。
「カナイさん急いでください」
「はい」
小走りで先ほどの山本のところに戻る。
「遅くなりました。横失礼しますね」
ヘルプで入っていてくれていた子と入れ替わるように山本の席に付く。
「サエちゃん今日は来てないから残念ですね」
相変わらずお通夜の様な状態だ。
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