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実はジュリと少し確執があったのだ。それもサエ絡みで。
ただ、特に喧嘩した訳でもない。いつもより少し距離を置いていただけだ。
「カナイはこの後帰れそうか?」
「え?この後ですか?」
客入りを見れば、そんなに入ってないし、言えば帰らせてもらえそうだが。
「たぶん、言えば帰らせてもらえると思います」
「じゃ、この後ラーメンでも食べに行かないか。奢ってやる」
「え、どこのラーメン屋さんですか?」
「駅前の方にチェーン店のラーメン屋があるだろう、大盛で有名な。あそこに行こうかって言ってるんだ」
そこはカナイも知っていた。
「そこは知ってますけど、なんでですか?いつもアフターだったらいつもショットバー行くでしょうに」
「ちょっとな」と、言って山本は口ごもった。
「ジュリとサエのことで話がある」
そう言われればカナイは断る理由はなかった。カナイの方もどうにかしたいと思っていたところだ。
「わかりました、後で尾崎さんに言って帰らせてもらう様に言っておきます」
「よし、じゃ時間も勿体ないから今日はこれで帰るわ。ビルの前で待ってるから用意してきてくれ」
そう言って、ウェイターを呼ぶと清算を済ませた。
エレベーターまで送ると、ジュリに「どういうこと?」と聞いてみた。
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