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「あとで全部話すから」
と、先に更衣室に入ってしまった。もう尾崎には帰ることを告げていたようだ。
「すみません、尾崎さん。私今日はこれであがってもいいですか?」
「ああ、うん。分かった。送りは要らないんだよな」
「はい、大丈夫です」
なんで送りが要らないことを知ってるのだろう。たまにショットバーに飲みに行ったりしてるからなのか?
ちょっと腑に落ちないところもあったが、急いで着替えた。
ジュリと一緒にエレベーターに乗っている間もジュリは何も話さなかった。
(もしかして、昨日のサエちゃんの電話が関係してるのかな?)
一昨日、仕事の用意をしているとサエから電話が掛かってきた。
「あ、久しぶりサエちゃん。仕事来てないけどどうしてるの?」
『カナイちゃん大変なのよ、実はね家に泥棒が入ってお金を盗まれたの』
「へ?」
『ちゃんとあったのに、お金がどこにもないのよ』
「え?ちょっと待って、戸締りはしてたの?」
『してた。たぶん、ジュリが盗んでいったんだと思う』
戸締りをしていたのに、ジュリが盗んでいくってどういうことだろう。家に上げた時にってことかなと、自分で話を修正しながら話を続けた。
「それなら本人に言うか、私が聞いてみようか?認めなければ警察に言うしかないんじゃない?本当にジュリちゃんかもわからないし」
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